今月はセクター別にポートフォリオを組む場合に、これは組み込んだ方がいいよという成長セクター5種をピックアップします。どれも今後2030年迄の10年で飛躍が見込まれるであろう有望業種です。広義的な括りでは脱炭素社会には違いないのですが、向こう10年程度のスパンでは、インフラ設備も含めた水素自動車や脱原発の実現はあまりリアリストな発想ではありません。今月紹介するのは、技術の進歩、業態変更の過渡期、法整備の実現、そして時代のニーズを如実に反映するであろうセクターたちです。


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続いてゲーム。


娯楽ビジネスでひと際輝きを放っているのが、長期的な成長への期待も高いビデオ / オンラインゲーム市場です。私は任天堂のファミコンやゲームボーイの世代でしたが、その後ハード機器がまぁ~進化、今やスマホ・パソコン対応のオンラインゲームも主流になり、市場の年間売上高は2025年には3000億ドル(33兆円)に達する見込みです。近年は特にeスポーツとしても注目されており、市場拡大の余地は十分あるんですね。


コロナ禍でスポーツや音楽ライブ、演劇(劇場)といったエンタメ界も大打撃を受けるなか、巣ごもり消費に強いゲーム関連はエンタメの中ではわりと活況。コロナ相場のセクター銘柄別に見てみると、ソーシャルゲーム株はそこまで強くなくても、任天堂を中心に家庭用ゲーム機を手掛ける銘柄はステイホームで好調です。任天堂とソニーの株価はすこぶる上昇してましたね。

 

ユーザーに初期投資させずに(無料ダウンロード)課金システムで利益をとるのがソーシャルゲーム企業。他方、据え置きハード型はまず必要な機器を購入させ(ゲームソフトの)販売数量をメインに利益を積む事業形態です。コロナ禍でも業績がいいのは「巣ごもり型」の後者。ハード端末が順調にシェアを拡大するなど、ビデオゲーム業界の長期成長を示す兆候は引き続き◎。比較的、出先でも簡単にゲーム開始できるソシャゲは、外出自粛の影響が大きかったのかもしれませんね。


ただ従来のゲーム産業が活況とはいっても、今では業界の売上拡大の最大の牽引役となっているのはオンライン・モバイルアプリゲーム。中・長期ではマーケットシェアを伸ばすのは明白なので、このコンテンツ市場が死ぬわけではありません。特に高速・大容量の5G通信規格は、プラットフォームレベルでの普及を促進するきっかけとなります。次のブレイクスルーだろう。


コンテンツ ー 此処では日本株はテーマ株の強みを持つ。


業界のリーディングカンパニーは日本にも多く、この分野では世界からリスペクトされています。マリオやポケモンの任天堂<7974>、モンスターハンターやストリートファイターのカプコン<9697>、ドラクエやファイナルファンタジーのスクエア・エニックス<9684>、他にもコナミ<9766>、バンダイナムコ<7832>、コーエーテクモ<3635>など、家庭用の据え置き型ゲーム機で遊ぶ人気ソフト・コンテンツを開発する優秀な企業は多い。


スマホ向けアプリゲームを展開する企業では、モンストで知名度が飛躍的に向上したミクシィ<2121>、パズドラのヒットで成長を遂げたガンホー<3765>、メダロット・シリーズのイマジニア<4644>などが業績の上方修正を発表している。ただ近年はもうスマホなどの携帯端末全盛の時代ですから、従来のゲーム機やソフトを販売していた企業もオンラインアプリの協業をして、その垣根は次第に縮まるでしょう。


米国株ではテイクツー・インタラクティブ<TakeTwo : TTWO>は過去10年で最も成功したゲーム企業のひとつだし、中国を拠点とするフーヤ<Huya : HUYA>はゲーム動画配信でトップクラスの地位にある成長企業です。アクティビジョン・ブリザード<Activision Blizzard : ATVI>、エレクトロニック・アーツ<Electronic Arts : EA>といった名前もしばしば耳にする。開発したゲームをeスポーツ化して広告料やストリーミングプラットフォーム向けの放映権を獲得する事業形態だね。


覚えておきたいのは


ソシャゲ関連株は期待値が高い分だけ思惑バブル的な値動きが散見されますが、ハード株は売上実績で勝負が出来る銘柄が多く、爆発的な株価上昇こそないものの、長期的には実績と信頼で株高を勝ち得ている印象です。任天堂のNintendo Switch、ソニー<6758>のPlayStation、マイクロソフト<Microsoft : MSFT>のXboxなどのインフルエンサー企業がそう。ソニーやマイクロソフトはゲーム以外にも多くの事業を手掛けているため、純粋なゲーム株ではありませんが。。


パズドラやモンストのように新規コンテンツでハネるのは比較的稀で、毎回ヒットが出るわけではないので、テンバガー銘柄とかはあまり狙わないように。。人気アニメが原作でアプリになる銘柄を探したり、版権を持っている大手アニメーション企業とのタイアップ事業で世に放たれる企画の方が当たりに出会える可能性が高いと思います。その意味では任天堂とUSJのコラボなどは、エンタメ業界の未来図を示す好例といえる。


私見で言えば、日本株を軸にポートフォリオを組む方はゲーム関連株に興味惹かれるでしょうが、米国株中心なら半導体は視野に入れておこう。ゲーム人気はパソコン周辺機器の半導体需要を押し上げるからです。キーボードやマウス、メモリーなど周辺機器の情報を計算処理してPCを駆動させる「CPU : 中央演算処理装置」と、PCの3Dグラフィックスなどの画像描写に必要な処理をする「GPU : グラフィクスプロセッシングユニット」の主に2種類。


特に話題の中心にいつもいるのが、GPU製造大手のエヌビディア<NVIDIA : NVDA>。ゲーム向けノート型PCが引き続き一般ノートPCの売上を上回っていることから、ゲーム事業は長期的な成長が続くとみていい。業界全体で増収増益を目指すには新たなコンテンツへの投資が必要ですが、そこは各社十分なリソースを備えています。特に日本人はここに強いセンスを併せ持つ。コレは大きな誇りですね。


今後、市場トレンドとして「5G」「ゲーム(eスポーツ)」「A.I.(自動運転・制御)」といった分野が成長することは確かですが、すべてに共通するキーワードが『半導体』です。ゲームそれ自体はいち業界の話かなぁ、、スマン、私ゲーマーじゃないのよ。。


現状、米国が米国であり続けられる理由は、軍事力や機密情報、通信技術などの分野で世界で最も優れた立場にあるからです。そしてそれを支えているのが半導体です。今回はゲーム業界を選びましたが、隠れテーマは半導体です。コロナ禍で半導体不足が世界的に問題になりましたが、半導体事業の成長は国家的戦略といっていい。米国と中国 ー 次世代技術にかける覇権争いが経済成長と安全保障の両翼を担っているともいえる。


半導体市場は成長がさらに加速しており、市場を知ることで何処に何を投資すればよいか、米国株投資家として大きなチャンスを掴む可能性は十分にある。ゲーム業界で圧倒的な地位を占めるエヌビディアは勿論、CPUとGPU両方で活躍するライバル企業・アドバンストマイクロ<Advanced Micro Devices : AMD>、半導体事業のパイオニア的存在・インテル<Intel : INTC>、ここら米国の半導体大手の動向は常に注視しましょう。新聞にもしょっちゅう登場しますよ。


今後ともご贔屓に。。